個人事業主の廃業。リース資産はどうする? 経理をユルく解説。
コピー機(複合機)や自動車などの物件をリース契約中、廃業することになった。
こんなとき、経理はどうしたらいいでしょうか。
以下、個人事業主の場合で考えてまいります。
山梨県中央市の税理士、田中です。
実際にワタシが質問を受け、
「うっ。。確かにどうしたもんだろ。。」
と、回答につまった質問でございます。
タナカ
リース資産・リース債務 で経理
まずは、「リース資産」「リース債務」を使って経理をしていたケースから考えてみましょう。
廃業→リース契約解除
まずは廃業とともに、リース契約を解除したとき。
考えられるのは、
- 違約金+物件の返却ナシ
- 違約金+物件の返却アリ
です。
違約金+物件の返却ナシ
「リース債務」の残りを一括で支払って、物件は手元に残る感じですね。
仕訳は、これ↓で終わりです。
- (リース債務)××× (現金)×××
リース債務のうち金利部分の支払いが免除されるのであれば、「リース債務」の残高よりも支払いは少なくります。
そのときは、上の仕訳にプラス、↓コチラで。
- (リース債務)××× (雑収入)×××
■減価償却は通常どおりだ
「リース資産」の減価償却は、リース期間定額法で行います。
前年以前から使っているものであれば、12か月分の償却費を。
廃業した年と同年に使い始めたものであれば、月割りで減価償却費を計上しましょう。
違約金+物件の返却アリ
これがヤヤコシイです。
深く考えず、↓この仕訳でOKです。(どうせ一度きりですし。。)
- (リース債務)××× (リース資産)×××
- (違約金)××× (現金or預金)×××
1つめの仕訳は、リース債務・リース資産 の残高の逆仕訳です。
■減価償却費は計上しない(してもOK)
減価償却費は計上しません。
が。。
廃業年に利益が出る場合は、リース会社(販売会社)に返すまでの期間分の減価償却費を計上するのもアリでしょう。
リース契約の解除ナシ の道もあるでしょ?
ありますね。
リース契約の解除をせず、廃業後もリース料を支払い続ける場合。
この場合の廃業年の経理は、減価償却費を計上して終わりです。
事業をやめてしまうので、残った「リース資産」は経費(減価償却費)にはなりませんが。。
契約解除して「リース債務」の残を一括支払いさせられるより、月払いで最後まで支払っていく道も十分考えられるでしょう。
どうなる?「支払リース料」で経理していた場合
これまで「支払リース料」で経理していたら、契約解除したときもアッサリいけます。
「契約解除→違約金ナシ」または「契約解除しない場合」
何もしません。
廃業までの間、リース料を支払ったときに、「支払リース料」の仕訳をするだけですね。
契約解除→違約金アリ
- (違約金)××× (現金)×××
これだけです。
ラクですなー。
消費税はどうすんの?(一般課税方式)
さいごに消費税ですね。
簡易課税なら関係ありませんが(※売上のみを使って計算しますからね)、一般課税方式で申告する場合は考えどころです。
リース資産・リース債務 で経理していた場合
リース契約を締結し、使い始めた時点で消費税の処理は終わっています。
(=「リース資産」を計上した時点で、消費税の処理は終了。)
ですので、「違約金」は消費税の仕入税額控除の対象となりません。
支払リース料 の場合は?
上記とは一転。
コチラは仕入税額控除の対象となります。
「違約金」は、
『リース物件の価格 ー 支払い済みリース料』
の残額を支払うのと同じ効果があると考えられます。
つまり、買い取りさせられるのとイッショ。
解約する前までは「支払リース料」分の仕入税額控除しかしていませんから、「違約金」の仕入税額控除はOKです。