社会保険料が下がるって本当?その背景と影響をわかりやすく解説

社会保険料の引き下げが議論に?
最近ニュースなどで「社会保険料の引き下げ」という言葉を見かけるようになりました。
2024年衆議院議員選挙、2025年参議院議員選挙において、一部の野党が「可処分所得を増やす」目的で、社会保険料の見直しを公約に掲げていることが背景にあります。
税理士の田中です。
とはいえ、「社会保険料が下がるってどういうこと?」「自分の負担はどう変わるの?」と感じている方も多いはず。
この記事では、社会保険料引き下げの中身や、企業・個人への影響についてわかりやすく解説します。
タナカ
社会保険料って何のこと?
「社会保険料」とは、ざっくり言えば次の5つの保険料のことを指します。
- 健康保険(協会けんぽ・組合健保)
- 厚生年金保険
- 雇用保険
- 介護保険(40歳以上が対象)
- 労災保険(事業者負担のみ)
このうち主に議論されているのは、健康保険・厚生年金保険・介護保険の負担です。
なぜ「引き下げ」が必要とされているの?
背景には、以下のような政府のねらいがあります。
- 賃上げだけでは可処分所得が増えにくい
- 物価高の中で生活支援を行いたい
- 特に現役世代(子育て世代・若年層)への支援を強化したい
つまり「給料が増えても手取りが増えない」状態をなんとかしたいというわけですね。
引き下げると、どこに影響が出るの?
当然ですが、社会保険料を引き下げればその分だけ保険制度全体の財源が減ることになります。
その影響としては:
- 医療・介護制度の持続可能性に懸念
- 将来の年金支給額や介護保険の給付水準に影響
- 企業の負担は軽くなる一方、制度の見直しが必要になる可能性
といった、「誰かの負担を軽くすれば、どこかにしわ寄せがいく」という問題がついて回ります。
どんな方法で「引き下げ」を行うのか?
具体的な方法としては:
- 健康保険料率の引き下げ(都道府県単位で調整)
- 子ども・子育て支援金の別枠徴収で、健保料を軽減
- 雇用保険料や介護保険料の国負担割合見直し など
完全に「引き下げる」というよりは、仕組みを分けて可視化することで“手取り”を増やすという方向性に近い印象です。
税理士としての視点:数字だけで判断しないで
「保険料が下がる」と聞くと一見うれしい話ですが、財源の議論なしでは本質を見失います。
- 子育て支援や医療制度は必要な仕組み
- いま無理に削れば、将来の世代にツケが回る可能性も
社会保険料は、単なる「負担」ではなく「投資」的な側面もあります。
目先の手取りだけでなく、「全体として何を守るべきか」を考える必要があるでしょう。
✅ まとめ
- 社会保険料の引き下げは、手取りを増やす狙いがある
- ただし制度全体の持続可能性とのバランスが課題
- 単なる“値下げ”ではなく、制度設計の再構築という視点が重要
今後の政府の動きに注目しつつ、自分の生活や事業にどんな影響があるかを冷静に見ていくことが大切です。
タナカ