【法人税】使用人賞与の損金算入時期はいつ?未払でもOKな例外とは

こんにちは、税理士の田中です。
「使用人への賞与(ボーナス)、まだ払ってないけど、今期の損金にできる?」
こんな相談をよくいただきます。
タナカ
原則として、賞与は実際に支払った事業年度の損金になりますが、実は未払いでも損金算入が認められる例外が2つあります。
今回は、その2つの例外をわかりやすく解説します!
■ 原則:支給した期に損金算入
まず基本ルールです。
✅ 使用人に対する賞与は、支払った日の属する事業年度の損金になります。
つまり、未払いのままでは損金にできません。
でも、資金繰りなどの事情で「支払いが間に合わない」ということもありますよね。
そこで、一定の要件を満たせば未払いのままでも損金算入できる例外が2つ用意されています。
1. 就業規則等で支給予定日が決まっている場合
▼ 条件:
- 就業規則や労働協約などに賞与支給日が明記されている
- 支給予定日が到来している
- 各人に支給額が通知されている
- その年度内に損金経理している
通知方法に決まりはありませんが、書面やメールなど“証拠が残る形”が安全です。
このケースでは、たとえ賞与が未払いでも損金算入が認められます。
💡 ポイント:
就業規則に支給日(例:毎月25日)が書かれていても、「具体的な日付」が明記されていないと認められない可能性があります。
曖昧な表現は避けましょう。
2. 決算賞与として通知・支給する場合
「就業規則には決まってないけど、決算期にまとめて賞与を出したい」というときは、この例外が使えます。
▼ 条件(3つすべて満たすこと):
- 各人に、具体的な支給額を通知している(同時期・同内容)
- 決算日翌日から1か月以内に実際に支払っている
- 通知した事業年度に損金経理している
⚠ 注意:
- 「支給日に在籍している人だけに支払う」条件だとNGです
(たった1人に支払えなかっただけでもNG。通知が有効とされません) - 通知日は絶対に“後出し”しないこと
(=バックデートは仮装行為と見なされるリスク)
この制度は、「誰に」「いくら」出すかを明確にし、恣意性(好きな人にだけ出す等)を排除するためにルール化されています。
3. 特別な使用人の場合の取扱い
- 役員の親族など、特殊な関係にある使用人の賞与も基本は他の使用人と同様に扱われます。ただし、過大な金額は損金にできません。
- 使用人兼務役員のうち、「使用人として支給される賞与」も、他の使用人と同様のタイミング・方法なら同じ取扱いが可能です。
■ まとめ:未払いでも損金算入できる?判断ポイントはこちら!
パターン | 損金算入OK? | 主な条件 |
---|---|---|
就業規則に支給日あり | ◯ | 支給予定日が到来済、通知済、損金経理あり |
決算賞与として支給 | ◯ | 全員に通知、1か月以内に支払い、損金経理あり |
在籍者限定支給(在籍者のみ) | ✕ | 条件不備で全体が否認されるリスクあり |
特殊関係使用人の賞与 | △ 条件次第 | 適正額であれば可。ただし過大部分は損金にならない |
支給の実態や通知のタイミングによって損金になる・ならないが大きく変わります。
賞与の取扱いに不安があるときは、ぜひ専門家にご相談ください。
タナカ