法定調書の電子提出義務、2027年から基準引き下げ!30枚以上で義務化

1. はじめに – 法定調書提出の電子化が加速
毎年1月末までに提出する「法定調書」。
給与や報酬の支払状況を税務署へ報告する大切な書類です。
これまでは紙で提出することもできましたが、近年は電子提出(e-Taxなど)が強く推奨され、一定枚数以上になると義務化されてきました。
税理士の田中です。
2027年(令和9年)1月提出分から、その義務化の基準がさらに厳しくなります。
タナカ
2. 現在の義務基準(100枚以上)
現行制度では、前年の提出枚数が100枚以上の場合、紙での提出はできず、電子提出(e-Taxや光ディスク等)が義務付けられています。
例えば「給与所得の源泉徴収票」や「報酬、料金等の支払調書」など、対象となる法定調書を合計して100枚を超える場合です。
3. 2027年1月以降の変更点(30枚以上に引き下げ)
令和9年(2027年)1月提出分から、この基準が 「100枚以上」→「30枚以上」 に引き下げられます。
つまり、これまで義務化の対象外だった中小企業や事務所でも、電子提出が必須になるケースが一気に増えるということです。
4. 対象となる法定調書の種類
法定調書にはさまざまな種類がありますが、代表的なものは次のとおりです。
- 給与所得の源泉徴収票
- 退職所得の源泉徴収票
- 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
- 不動産の使用料等の支払調書
これらの合計枚数で判定します。
5. 判定方法と「基準年」の考え方
電子提出義務の対象となるかどうかは、「基準年」の提出枚数で判断します。
基準年とは、提出する年の前年の前年 を指します。
例:
2027年1月提出分 → 基準年は2025年
2025年に作成・提出した法定調書の合計枚数が30枚以上であれば、電子提出義務があります。
6. 提出方法 – e-Tax、光ディスク等
電子提出にはいくつかの方法があります。
- e-Tax(国税電子申告・納税システム)
パソコンから直接送信可能。法人の場合は利用者識別番号の取得が必要です。 - 光ディスク等による提出
CDやDVDにデータを保存して提出する方法ですが、事前承認が必要です。
7. 事前準備のポイント
電子提出義務化に備えて、早めの準備をおすすめします。
- e-Taxの利用者識別番号を取得しておく
- 市販の給与計算ソフトや会計ソフトが電子提出に対応しているか確認
- e-Taxソフト(WEB版)の操作に慣れておく
8. まとめ – 早めの対応でスムーズな移行を
2027年からは、30枚以上の法定調書で電子提出が必須になります。
小規模事業者でも該当する可能性が高まるため、今のうちから電子提出の環境を整えておきましょう。
準備さえしておけば、紙提出よりも効率的で、
税務署への持ち込みや郵送の手間もなくなります。
タナカ